2022/11/01
いまなぜ「憲法とメディア」なのか
「国葬令」と「統一協会」
安倍晋三元首相の「国葬儀」が、9月27日行われました。当初、決して多くなかった「安倍国葬」に反対する声は、SNSでの声が高まり、やがて「反対」を言わなかった新聞論調が変わり、世論調査では過半数が反対する中での「イベント」になりました。
そうです。国論を2分して強行された「安倍国葬」は、私たちが考え、自分の身内の「死」で考える「お葬式」とは全く違って、何かの目標、安倍政治を礼賛し、「改憲」と「復古主義」を広げる世論の動員を狙って行われた「メディア・イベント」そのものでした。
しかし、最初、それが見えなかったとき声を出さなかったメディアが、憲法や法律を問題にし、「税金の使い道」を問題にする中で、世論が変わりました。
「国葬」なるものを認めるかどうかは、実は日本国憲法の成り立ちと大きく関わっています。いわゆる「戦後日本」のスタートは、1945年7月に出された「ポツダム宣言」の受諾に始まります。ポツダム宣言は、「日本政府は日本国国民における民主主義的傾向の復活を強化し、これを妨げるあらゆる障碍は排除される。言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立される」と宣言。日本国憲法は「その条規に反する法律、命令、 詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」(98条)に従って、憲法の原則、国家主義、軍国主義を排する精神から、かけ離れた「国葬令」も存続を許されませんでした。岸田首相の「行政権の一部」は全く根拠がありません。
10月20日、朝日新聞は統一教会と自民党議員が「政策協定」を結んで、選挙を戦っていたことをスクープし、翌日の各紙もこれを詳しく報じました。
- 憲法を改正し、安全保障体制を強化する。
- 家庭教育支援法及び青少年健全育成基本法の国会での制定に取り組む。
- 「LGBT」問題、同性婚合法化に関しては慎重に扱う。
- アジアと日本の平和と繁栄を目指す「日韓トンネル」の実現を推進する。
- 国内外の共産主義勢力、文化共産主義勢力の構成を阻止する。
どういうことでしょう? 自民党が言う「改憲」「軍備強化」「家庭を大切に」は、こんなところで約束させられていたのです。国民への裏切りもいいところです。
メディアは例え憲法に違反していることであっても、いや、憲法的な問題があるものであれば、なおのこと、正確な報道で真実を伝えなければなりません。メディアはそこで、憲法の立場からみてどうなのか、を書かなければなりません。
国葬が終わり、統一協会問題が続く中で、メディアはそれができているかどうか?
起きている事象を伝えることに汲々として流され、ただ伝えるだけになっていないか?
私たちはそれを、きちんと正確にみるメディアを、改めて求めていきたいと思います。
2022年11月1日
憲法とメディア同人一同