2024/01/01
憲法の精神を、メディアに、政治に!
いま、なぜ、「憲法とメディア」か

 2024年、世界は2つの戦争を抱え、日本は円高と消費者物価の高騰の中で、新しい年がやって来ました。
 ほぼ2年前、22年2月に始まった「ウクライナ戦争」に続いて、昨年、23年10月、イスラエルの封鎖で「天井なき牢獄」と称されるパレスチナ・ガザ地区へのイスラエルによる全面的な攻撃が始まりました。停戦を呼び掛ける国連などの度重なる声明にもかかわらず、ウクライナでは、ロシアのプーチン大統領は首都キーウへの攻撃など、侵攻をやめず、パレスチナでは、イスラエルのネタニヤフ首相が「ハマスを壊滅させるまで戦う」と、事実上「ジェノサイド」(集団殺害、大量虐殺)宣言とも言うべき発言を続けています。
 「とにかく戦争だけはやめて話し合いを」という国際世論は、地球上の多くの街で湧き上がり、広がっていますが、まだ指導者を動かせない。始まった戦争をやめるのはいかに難しいかを示しています。
 日本国憲法は「われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」(前文)とし、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」(第9条)と宣言しています。
 日本国憲法のような「戦争放棄」の思想と信条を広げることしか、世界と人類を救う道はないのではないか、と改めて感じます。

 しかし岸田政権は、ロシアと米国の代理戦争とも言われる「ウクライナ戦争」でも、一般国民が「恐怖と欠乏」のもとで「平和のうちに生存する権利」を奪われているパレスチナ紛争でも、米国の立場に追随するのみで、日本国憲法の立場を貫こうとしていません。 それどころか岸田政権は、昨22年、大手メディアのメンバーを巻き込んだ「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」で、お手盛りの考え方を示した後、12月には「国家安全保障戦略」のほか、「防衛計画の大綱」を改称した「国家防衛戦略」と、これまで「中期防」として、自衛隊の体制・経費などをまとめた「防衛力整備計画」の「安保三文書」を閣議決定。日本は「軍事国家」の方向に大きく舵を切りました。24年度予算案の防衛費は7兆9000億円、軍事費の後年度負担は、13兆7500億円に上ります。

 メディアは本来、「戦争」を憎みます。いかなる場合も「戦争」に協力しない、はあらゆるメディアの原則です。しかしいま、日本のメディアは、戦闘についての事実報道は多いものの、「防衛力倍増・抑止力強化」と、米国を囲む「同志国の結束」に向かう、岸田政権への憲法にもとづく批判と論評はあいまいなまま終始しています。
 「言論」は「力」とは相容れません。メディアは、もっともっと「戦争反対」「軍拡反対」を叫ばなければなりません。「専守防衛」「敵基地攻撃」「攻撃型兵器の購入・製造・輸出」とは、一体何なのでしょうか?
 「核抑止」とは何でしょうか? 「平和主義」とは何でしょうか? 核を撃ち合わないだけで「平和」は守れません。「戦争がない」ことが「平和主義」でもありません。「核廃絶」と「専制や隷従、圧迫や偏狭」がなく、「貧困」や「恐怖」もない世界を求めることが「平和主義」です。
 メディアが、世界を支配している間違った状況を、日本国憲法を踏まえ、しつこく書き続けていないことが、「憲法無視」の政治を許しています。

 「憲法」の課題は、安保、軍事問題だけではありません。ジャニーズや宝塚の問題、勇気ある女性自衛官の告発で明るみに出た自衛隊内部のセクハラ事件…。物価高と「新自由主義」の風潮の中で強まる、生活や自由の問題。改めてメディアと憲法の問題が関わっていることを痛感させたことも少なくありません。
 真実の報道が民主主義を支え、人類の幸福を増進していきます。メディアが、勇気を持って日本国憲法の精神を体現し、報道し、論評し、発言していくこと。それなしに平和も、豊かな生活も生まれません。
 この年末、派閥の政治資金パーティをめぐる、裏ガネ作りとその使途が大きな問題になりました。22年7月参院選での安倍晋三元首相狙撃事件以降、問題になった旧・統一協会と自民党の癒着関係は、日本の政治の背景をうかがわせ、そうした自民党政治を裏側から支える「政治とカネ」の構造を明らかにする端緒となるはずです。
 年を越した検察の捜査が、この後どう進むかは、世論の動向にかかっています。この大捜査、大報道「軍拡予算・対米追従政治隠し」の材料にされてはなりません。

 新年に当たって、「憲法とメディア」は、改めて、日本の行く末を見つめ、発言し続けたいと思います。みなさまのご協力をお願いします。

 メディアに改めて「憲法の原則」を! 「人権のための経済」と「平和的生存権」を!
「思想・信条・言論・表現の自由」を!
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