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2022/12/13
「9条の碑」運動は語りかける
★ 岸田政権は「黄金の3年」どころか、「いつ難破するかの泥舟」となっている。改憲反対の運動にとってもいわば押せ押せの情勢だ。「改憲阻止・9条守れ」の目標(頂上)をめざすルートはいろいろある。国会をはじめとする議会、署名、街頭などでの宣伝、論壇・イデオロギー分野…など。私が今回注目したいのは「9条の碑」をつくる運動である。

★ 日本と世界の9条の碑フォローの第一人者といっていいのはジャーナリストの伊藤千尋さんだろう。著書『非戦の誓い-「憲法9条の碑」を歩く』(あけび出版)にくわしい。
 きっかけは16年前の2006年、朝日新聞記者時代に行ったアフリカ沖カナリア諸島(スペイン領)にある「日本国憲法9条の碑」だった。外国の人が“自分たちの国にもこういう憲法がほしい”と願っている。その感動が「9条の碑」フォローにつながった。
改めて9条の「戦争放棄、戦力不保持」のパワーの世界的な強さ、新鮮さを思う。

★ 今年でいえば6月に東京で初めて足立区北千住で9条の碑が完成・竣工した。形状は江戸っ子のしゃれ精神を発揮してか「9条=球状」だ。
 きっかけ2020年1月、この地域の「千住九条の会」が伊藤さんを呼んで講演会を開き、各地の9条の碑の存在を知ったこと。10か月後の11月に「建立する会」が発足したが、半年かけて運送の体制や碑の場所・形状を決め、21年7月にかなり大々的な「制作発表・記者会見」を開いた。

 8社の取材があり記事が掲載された、と千住九条の会事務局長・中田好美さんと妻・順子さんはちょっとうれしそうに言う。連日「募金したい」の電話が鳴った。そして1年後の完成。芝生にステンレスの「球状の9条」がはえる。伊藤さんデータによれば国内24カ所目。

★ 「足立が東京で初めてならこちらは…」というわけではないが、東京・府中市では「三多摩初の『9条の碑』を府中につくる会」が9月に発足した。
 こちらは「けやき平和コンサートの会」が今年3~7月に3回にわたって開いた「伊藤千尋さんとともに憲法を語り学ぶ会」が土台だった。参院選での「改憲勢力3分の2」という悔しい思いもあってか、8月の「9条の碑」懇談会には42人が集まった。

 地域のベテラン市民運動家は「いやあ知らない顔、それも女性が多くて」と驚いた。「つくる会」は11月、母体ともいえるコンサートの会の発表会場のロビーを借りる形で、足立にならってミニ記者会見。碑の場所についても市民からの提案・申し出を募っている。
 年明けにも場所・形状が決まるだろう。この会のキャッチコピーの一つは「9条の碑は改憲阻止のシンボルであり、エンジン(機動力)になる」。

★ 首都圏でもう1カ所の運動スタートは神奈川県藤沢市を中心とする地域。11月に「神奈川初の9条の碑を湘南に」と実行委員会が発足した。
呼びかけたのは、日本各地の9条の碑を訪ね歩いているプロダイバーの武本匡弘さん(67)。実行委の場案は「初対面の人が多かった」(武本さん)

 写真には幼児の姿も。「若い親世代が参加しているのがうれしい」(以上は11月26日付「赤旗」)。
 海の環境破壊を知る武本さんは言う。「気候危機と平和の危機は関連している」。それが武本さんを「9条の碑」探求に向かわせたといえるだろう。

★ 足立、府中、藤沢(湘南)。3地域の活動の交流があればいいと思う。点から面への広がりをつくりたい。
 冒頭のフレーズに戻る。
 「改憲阻止・憲法を守り抜く」という峰に向かうのは多様な道があっていい。あるべきだ。それらが高みをめざして縒(よ)り集まるような運動の広がりを。
2022/12/09
「軍拡」と「敵基地攻撃」―君は本当に賛成か?
  君は「軍拡」と「敵基地攻撃」に本当に賛成なのか?
    再び「戦争」を選ぶのか?

 日米会談での「相当な防衛費増約束」(4月、5月)→「有識者報告」(11月22日)→「財務相・防衛相への防衛費2%指示」(11月30日)→「防衛予算・5年間で43兆円指示」(12月5日→「防衛増税、年1兆円指示」(8日)…!!! 
 一体、これは何なのか? あれよあれよという間に、立て続けの軍拡キャンペーン、「垂れ流し」で碌に批判しないマスメディア。日本は恐ろしい国になりつつある。

             ×          ×

 「防衛費増額に『賛成』5割超、中露への対抗姿勢『評価』74%、防衛力強化について『賛成』70%、『反対』24%」(6月の読売新聞調査)
 「防衛費増額に対する賛否、『賛成』55%、『反対』29%」(10月NHK調査)
「日本が敵基地攻撃能力(反撃能力)を持つことに『賛成』60.8%、『反対』35.6%」(11月共同通信調査)
 …平和憲法があり、9条があるはずなのに、これは一体何か? 「それでも日本人は『戦争』を選んだ」(加藤陽子東大教授、新潮文庫)を再び、三たび、繰り返そうというのか?

             ×           ×

 加藤教授は、日露戦争や第一次大戦にまで遡りつつ、かつて、みんながとても無理だと思いながら、軍部に引きずられ、ずるずると戦争に突き進んでいく状況を書いている。
・1931年7月、当時の東京帝大の学生の意識調査。「満蒙に武力行使は正当なりや」との問いに「然り」が88%だった、
・「避けうる戦をもぜひ戦わなければならぬという次第ではございませぬ。同様にまた、大坂冬の陣のごとき平和を得て翌年の夏には手も足も出ぬような不利の情勢のもとに再び戦わなければならぬ事態に立ち至らしめることは皇国百年の大計のためとるべきにあらずと存ぜられる次第でございます」(永野修身・陸軍軍令部総長、1941年9月6日御前会議)
―そして結局、開戦。後の東大総長。南原繁教授は、「人間の常識を超え、学識を超えて起これり、日本、世界と闘ふ」 と詠んだ、という。

           ×           ×

 いま、世論調査で、「軍拡」や「敵基地攻撃能力」整備に「賛成」という人に、改めて問いたい。ちゃんと動き、ちゃんと対応すれば、そんなことはあり得ないことなのだが、仮に日本が攻撃されたら、本当にあなたは「座して死を待つより、撃って出て華々しく散る」のだろうか? 
 そんなに「生きている」と言うことは、どうでもいい、大したことではないことなのか? いま、私たちは、その生き方が問われている。

 きのう、12月8日は、太平洋戦争開戦・81年だ。
                              (了)
2022/11/29
旧統一教会関連団体に
開発援助955万円・無償資金協力
当時の外相は岸田首相
「関係がある団体とは知らなかった」だと
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 旧統一教会問題。今度は岸田首相に及びました。11月28日(月)衆院予算委員会。日本共産党・田村貴昭議員の質問。「旧統一教会の関連団体“世界平和女性連合”がアフリカのセネガルで運営する職業訓練校の新校舎建設に、日本政府が政府開発援助(ODA)として955万円余を無償資金協力していた問題をとり上げました。
 田村議員は、世界平和女性連合は海外で運営する学校で、統一教会の開祖・文鮮明の自叙伝を配布するなど海外宣伝をしていた団体です。セネガルの学校に資金協力をした2015年当時の外相は岸田文雄だと指摘し「反社会的団体に、国民の血税である政府資金を外相として供与した責任をどう認識しているか」と問いました。
岸田首相の答弁。「旧統一教会と関係がある団体だと把握できていなかった」
「問題がある行動、信用を利用する事態があれば政府として対応を考える」。
 田村議員は「当時外相だった首相自身にかかわる問題だ。首相の責任で事実関係を徹底調査し、資金の返還請求を行うべきだ」と求めていました。岸田首相
 どんな対応をするか。要注目です。

▼「知らなかった」とは言わせない
 ここに旧統一教会と一体の国際勝共連合の機関紙『世界思想』があります。
国会議員や地方議会議員が「集会に呼ばれていったら“後援会をつくりました”と言われて断れなかった」ということについて‥‥‥‥‥
 「これではいかにも世界平和連合T県本部が、議員との関係性を深めるために、本人の了承も得ず、強引で一方的に後援会組織を立ち上げたとの印象を全国の人に植え付けてしまいます。
 これは全くの事実誤認です。後援会を立ち上げる場合、その議員の地元の関係者に後援会の幹部になってもらいます。肝心なのは後援会の名称。こちらでは3つほどの後援会の名前を考えます。そこに議員の姓名から1文字を入れる。その文字と、世界の平和の中の「世」や「和」などの文字を組み合わせて、最後は議員本人に確認してもらい決定します。集会に呼ばれていったら“後援会をつくりました”と言われて断れなかった“というのは全くのでたらめです」と。自民党議員への反発がはじまっているようです。
 ちなみに筆者の地元神奈川の自民党比例で当選してきた山本朋広議員。世界平和統一家庭連合の韓鶴子総裁のことを「マザームーン」と呼んでいることで知られていますが、彼の後援会名は『朋和会』。議員の後援会の名称を探ってみるのも一興です。

▼「世界思想」9,10月号緊急企画
そのタイトルは
安倍元首相襲撃事件をめぐるメディアの偏向報道
接点探して「魔女狩り」の異常

 旧統一教会問題を報道し続けているメディアは注目の的のようです。この緊急企画が“「魔女狩り」と化したメディア報道の問題点”としているのは

1)捜査段階の容疑者の「供述」の一部が不確定なまま報道機関に流されている。
2)供述の一部を切り取るメディアが恣意的に「ストーリー」を作り上げることで、結果としてテロの成功を後押しする結果に。
3)一方的なバッシングの背後に左翼勢力による反保守、反安倍の政治的意図。
4)法的根拠のない「反社会的団体(勢力)のレッテル貼りによる団体排除、関係断絶の強要。

 です。
 旧統一教会問題は 始まったばかりだといっていいでしょう。気を抜くことはできませんね。
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