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2022/06/11
日本は降伏すべきではなかったのか
―篠田英朗教授に問う
日本は降伏すべきではなかったのか ―篠田英朗教授に問う
★篠田英朗氏という東京外大教授がいる。国際政治学が専門とのこと。朝日4月15日付の「オピニオン」欄「戦うべきか、否か」に登場。ウクライナに「降伏」「妥協」を求める議論に対してこう述べた。「ウクライナでは大統領の方針を9割の国民が支持しています」「当事者が苦悩の末にそういう選択をした以上、それに対して敬意を払うべきでしょう」。妥当な意見だと思った。その後も氏はこの観点から橋下徹弁護士の「妥協・降伏」論に反論している。
★この篠田氏の名を今度は6月3日の産経「オピニオン」の「正論」欄で見た。冒頭、「ロシア・ウクライナ戦争」で「印象深いのは、左派系の方々の『絶対平和主義』の劣化である」とある。ん? 何を言ってるのかな。氏によると「絶対平和主義者」は「ウクライナにも非がある」として「『どっちもどっち』論」になっている、これはダメだという。だれのことをなんだろう。
氏のいう「絶対平和主義者」とは、たとえば上記の朝日オピニオン欄で「非暴力抵抗こそ民を守る」と主張した映画監督の想田和弘氏あたりか。想田氏は「国の指導者が一切交戦しないことを決断」して「徹底的な非暴力・不服従の抵抗」を言ってるのであって、そもそも「どっちもどっち」論とは無縁だ。
では「どっちもどっち」論の一典型といわれる、やはり映画監督の河瀨直美氏はどうか。彼女は東大入学式の祝辞で「「ロシア」という国を悪者にすることは簡単である」「『悪』を存在させることで、私は安心していないだろうか」と問いかけた。一種の観念論・不可知論だが、「絶対的平和論」ではない。篠田氏はいったい誰を批判しようとしているのか。
★産経文を追うと、篠田氏は「1945年の日本も早く降伏するべきだった」と主張する人々が気に入らない。つまり氏は「ウクライナは降伏を」論も「かつての日本も早く降伏すべきだった」論も批判する。後者は論証抜きで「イデオロギー的な歴史観」だという。要するに第二次世界大戦と、今回のロシアのウクライナ侵略の「正邪」が見えていないのだ。
侵略国日本がもっと早くポツダム宣言を受諾していれば、何十万の日本人の命が失われずにすんだかは、歴史の真実だろう。まさか氏は「降伏反対」をキーワードに今回のウクライナの事態と第二次大戦の日本を見ているわけではないでしょうね。
氏は最後に、日本の絶対的平和主義者は「ウクライナと改憲を結びつけるな」と言っていると論難する。「ロシアのウクライナ侵略に乗じて憲法9条をなくせというのは筋違いだ」という声は「絶対的平和主義者」を含む少なくない国民の声だ。
氏が4月の朝日で「『法の支配』によって国際社会の秩序を維持することは、二度の世界大戦の教訓を踏まえて、人類が取り組んでいる壮大な実験です」と言ったのはいったい何だったのか。「二度の世界大戦の教訓」は国連憲章と日本国憲法に結実したのではなかったか。
氏にとっての教訓は「9条の否定」なのか、改めて氏に問いたい。
2022/06/03
長崎市幹部による性暴力事件
原告の女性記者が勝訴

<判決後に開かれた記者会見の様子=NHKのニュースより>
報道機関に勤める女性記者が、長崎市の幹部(当時)に性暴力を受け、市に損害賠償を求めた、長崎市性暴力訴訟で、長崎地裁は5月30日、約1975万円を支払う判決を言い渡し、原告の女性記者が勝訴した。この訴訟では、市幹部が自死し、管理者である市の責任を認められるか否かが注目された。判決は、市幹部による性暴力は、職権を乱用したもので、記者は業務(取材活動)中だったことを認めるなど、画期的な内容となった。
事件は2007年に起きた。この幹部は、国際的に注目される原爆行政をつかさどる立場(原爆被爆対策部長)にあった。女性記者は、8月9日の平和祈念式典に関連することを確認するよう指示を受け、この幹部に連絡を取ったところ、「いまから会おう」と言われ、被害に遭った。
事件後、女性記者は体調を崩し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断を受けた。性暴力の被害者が「拒否すれば防ぐことができた」などと非難される二次被害(二次加害という人もいる)は後を絶たない。この女性記者も例外ではなかった。幹部の同僚らが虚偽の内容を流布し、インターネット上でも中傷を受けた。
事件から約3カ月後に幹部が自死し、「事実関係を明らかにできない」と市はあいまいな態度を取り続けた。女性記者は09年、日弁連に人権救済の申し立てをした。日弁連は14年、女性記者に非があるかのような事実に反する風説が流布されることで、さらなる「精神的苦痛を強いられる二次被害」があったなどと指摘した。市に謝罪と再発防止策を求める勧告を行ったが、市は受け入れを拒否。女性記者は、事件から12年を経た19年、提訴に踏み切った。「必要な情報を得て市民に伝える。その職務を果たすために私たちは働いていることを、裁判を通して世の中に知らせたかった」。提訴後に語った言葉だ。記者やジャーナリストへの暴力は、報道の自由の侵害と密接に関わる。
加害者の処罰について日本は、性犯罪の立証責任を被害者側が負わなければいけないという問題がある。この女性記者は、弁護士や支援者らに支えられて、この壁を打ち破った。けれども、本来、こうした立証責任は、加害側が追うべきものだ。
控訴期間は2週間。市が控訴した場合、裁判は福岡高裁に持ち込まれる。裁判が長引けば、被害者の苦しみはさらに続く。
平和とは単に戦争のない状態ではない。人々の自由や尊厳が守られ、性暴力のない社会をつくることは、「平和都市」をかかげる長崎市の大事な任務だ。
2022/05/31
正念場の夏!
われら青春真っただ中
なんとしても改憲阻止を!
最近、『青春』という詩(サミエル・ウルマン)を発見しました。その一節を紹介します。
人は信念と共に若く 疑惑とともに老いる
人は自信と共に若く 恐怖と共に老いる
希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる
青春とは人生の「ある期間」をいうのではなく、「こころの様相」をいうのだそうです。すぐれた想像力、たくましい意思、燃える情熱、怯懦(きょうだ)を退ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心。そんな「様相」を青春というそうです。
70歳であろうと16歳であろうと、理想を失った時、老いが訪れるのだそうです。
「憲法を変えさせない!」「戦争する国にさせない!」「平和を、いのちを、くらしを守る!たくましい意思、燃える情熱」をもっているわたしたち。まさに「青春ど真ん中」です。
▼ 間もなく日本の針路をきめるといっても過言ではない参議院議員選挙です。
ぼくの住む神奈川での前回参院選の結果は
投票率 48.73%
投票総数 3.728.000人。
棄権 3.923.000人
解せないのはメディアが果たした役割です。選挙戦の真っ只中に「改憲政党3分の2の可能性」と。
それがどんな効果を生んだのか・・・。「どうせ投票に行っても変わらない」という無力感を生んだのではないか。
昨年の「選挙報道量」。衆議院選挙報道より自民党総裁選の方が多かった。それがどんな効果を生んだのか。メディアの皆さん。そんな分析をおやりになったことはありませんか。
「政府が右と言っているのを左と言うわけにはいかない」と言ってのけたのは籾井というNHK会長でした。NHKさん。自民党報道局になり下がるのは、もうやめませんか。
ぼくの住む神奈川での前回参院選の結果は
投票率 48.73%
投票総数 3.728.000人。
棄権 3.923.000人
解せないのはメディアが果たした役割です。選挙戦の真っ只中に「改憲政党3分の2の可能性」と。
それがどんな効果を生んだのか・・・。「どうせ投票に行っても変わらない」という無力感を生んだのではないか。
昨年の「選挙報道量」。衆議院選挙報道より自民党総裁選の方が多かった。それがどんな効果を生んだのか。メディアの皆さん。そんな分析をおやりになったことはありませんか。
「政府が右と言っているのを左と言うわけにはいかない」と言ってのけたのは籾井というNHK会長でした。NHKさん。自民党報道局になり下がるのは、もうやめませんか。
▼ これ以上あれこれ申し述べることはやめて、順不同で、いろんな方々の言葉を並べてみます。
〇「過去に目を閉ざす者は、結局のところ現在にも盲目となります」
(ヴァイツゼッカ―・元西ドイツ大統領)
〇「戦争はある日突然に天から降ってくるものではない。長い長いわれわれの“知らん顔”の道程の果てに起こるものなんである。いくら非戦を唱えようが、それはムダだと思ってはいけないのである。そうした“あきらめ”が戦争を招き寄せるものなんである」
(作家・半藤一利)
〇「自由はある日突然なくなるものではない。徐々に蝕まれ、気づいたときにはすべてが失われている」
(宮澤喜一・元首相)
〇「言葉を奪われているのはどちらか。戦時下の記者なのか、今なのか」
「言論規制はある。それは内なる規制(自己規制)だ」
「メディアは時の流れに合わせてタクトを振る」
「言論規制はある。それは内なる規制(自己規制)だ」
「メディアは時の流れに合わせてタクトを振る」
(作家・辺見庸)
〇「ジャーナリズムとは,報じられたくない事を報じるものだ。それ以外のものは広報にすぎない」
(イギリスの作家・ジャーナリスト ジョージ・オーウェル)
〇「この国の憲法九条を知っているかい。戦争はしない、戦争に加担しない。愛と平和なんだ。まるでジョン・レノンの歌みたいじゃないか」
(2005年 忌野清志郎)
〇「戦争を知っている奴が世の中の中心であるかぎり日本は安全だ。戦争を知らないやつが出てきて日本の中核になったとき、怖いなあ。絶対戦争なんかダメだ。だから経験者が戦争の悲惨さを教えてやれ」
(元首相・田中角栄)
〇「今の日本を支配している権力者は戦争を知らないし、体験もしていない。戦争は国民を苦しめ、痛めつけ、最後には殺してしまう。国民はハガキ一枚で招集されて、死ねと言われて死ななくてはいけない。そんなそんな恐ろしくて残酷な体験をこの国は77年前までしていた。そのことをぼくたちは繰り返しおもいださなくてはいけない」
(映画監督・山田洋次 1931年生まれ91歳)
〇「選挙に行こう💛投票しよう。
いま私たちはしっかり考えて行動しなければいけない時です。戦争をする国になってはいけない。憲法9条を守って、武器ではなく対話で平和な世界をつくっていきたい。私は強くそう思います。はじめて選挙権を持つ十代の皆さんもぜひ投票して、あなたの思いを・考えを一票に託してください」
いま私たちはしっかり考えて行動しなければいけない時です。戦争をする国になってはいけない。憲法9条を守って、武器ではなく対話で平和な世界をつくっていきたい。私は強くそう思います。はじめて選挙権を持つ十代の皆さんもぜひ投票して、あなたの思いを・考えを一票に託してください」
(女優 吉永小百合)
〇「いま、少年時代に味わったのと同じ“風”を感じます。いざことが起きれば“国を守れ”と叫ぶ一人の権力者に大勢が傾く危うい気配があります。そして、始まるとなかなか止められない。犠牲になるのはいつも庶民です。しかし、最大の抑止力は戦争を起こさないための話し合い。外交です。それしかありません」
(俳優・仲代達也 1932年生まれ90歳)